ことを命じた。なるほど、まだ重大な仕事が残っていたのだ。乗組員の多数は、艇外《ていがい》へとび出して宇宙塵に損傷《そんしょう》した穴の方から消火につとめた。このとき彼らは、やはり空気かぶとをかぶらなくてはならなかった。そのわけは、火星の表面には、月世界とはちがって空気はあるけれどもその空気はたいへん、き薄《はく》であるから、人間はやはり酸素を自分で補給しないと息ぐるしくて平気ではいられないのであった。だが、例のいかめしい空気服は着なくてもよかった。空気かぶとは、頭にすっぽりとはいる円筒形のもので、肩のところで、ぴったりと身体についていた。そして空気かぶとの大部分は、透明な有機《ゆうき》ガラスでできていたから、すこしはなれて見ると、そういうかぶとをかぶっているのかいないのか、区別がつかないほどだった。この中へ送りこむ酸素タンクは背中にとりつけてあった。
艇外へ出た作業員たちは、みんな火星がはじめてであったから、火星の引力になれていなかった。そのために彼らは、意外な失敗をくりかえした。つまり、火星では重力が地球の重力の三分の一しかない。だから一メートル高くとびあがるつもりでとびあがると、
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