ことであった。もうほんとうに、いつも同じ新月号の中に起き伏しし、窓から外をのぞけば、いつも同じようにまっくらな空にダイヤモンドをちりばめたように星が光っているのであった。全くこの単調な生活には、どんな辛抱づよい人間でも、がまんがならなくなるのだ。
 そのころ、この唯一《ゆいつ》の、そして最も大きな慰《なぐさ》めである通信がどうも今までのように、工合よくはこばなくなった。
 通信局の連中は、ようやく仕事の種が発生したので、退屈からのがれると、大よろこびであった。
 だが、通信の不調の原因は、よく分からなかった。これが地球の上なら、磁気嵐《じきあらし》のせいであるとか、デリンジャー現象だとかいえる種類の不調だったが、こんな宇宙の一角で、そうした原因でこんな不調が起るはずはなかった。
「これは重大だ。ひょっとすると、一大|椿事発生《ちんじはっせい》の先触《さきぶれ》かもしれない。みなさん、ゆだんなく気をつけて下さい」
 通信局長のスミレ女史は、とうとう全局員に対し、警戒を命じた。
 計算によると、あと二週間で、火星に達するあたりまで、新月号は近づいた。
 火星の姿が、地球から見る満月《まんげ
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