しんくう》ののち、火星に達する計算であるが、そのときは火星が地球や月に対して一番近くなっているときで、火星と地球との距離は五千六百万キロほどになっているはずだった。
 だから月世界を離れたロケット新月号は、当時の火星の距離七千万キロを飛ばなくてもすむのだった。つまり三ヶ月のうちに、火星の方が自分でこっちへ近づいてくれるから、それだけ新月号の方では行程《こうてい》を短縮《たんしゅく》することができるわけだった。
 貴重なる資源ルナビゥムを積みこむことが出来たので、新月号のスピードは予定のとおりにあがり、火星へ達《へ》する日も、予定日を狂わないだろうと思われた。
 万事が好調にいっている。
 一ヶ月経ち、二ヶ月経ち、次の第三ヶ月目にはいった。
 新月号と地球との間には、たえず通信が交換されており、テレビジョンも受けたり、こっちから送ったりしていた。だが、この退屈《たいくつ》で平穏《へいおん》な暗黒《あんこく》の空の旅は、地球の方ではあまり歓迎しなかった。
 それにひきかえ、乗組員たちは、地球からの通信やラジオ放送やテレビジョンを、出来るだけ多く受信して、聞いたり見たりしたがった。むりもない
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