んだ。つまり、月人は、土地を掘って、地中へ、地中へ、と下りていったんだよ。表面は寒冷でも中はずっと暖かいからね。それに、空気は月の表面からとび散ってしまったが、地中にはいくらかそれが残っていたのだ。だから月人は、地中深く姿を消し、そしてその子孫が今もなお生命をつないでいるんだ。全くけなげ[#「けなげ」に傍点]な連中だ」
モウリ博士は、力をこめて、そういった。月人を恐怖する博士も、これまでに月人がたどった運命と、忍耐《にんたい》づよい努力とには、同情し、敬意をもっているのだった。
「でも、おじさん。そればかりの空気ではたくさんの月人が暮らしていけないでしょう」
正吉は、そういった。
「いや実際、地中にもぐってみると、案外に空気のたまっているところがたくさんあったのだ。もちろん、そのとき地中にもぐった月人の総数はそんなにたくさんではなかったらしい。数千の集落のうちのいくつかが、地中にもぐりこむことに成功したのだそうだ」
「すると、月世界の空気はある時機になって、急に月の表面から消えてしまったのですか」
「そうなんだ。どうしてそんなことが起ったかというと、そのとき、月のごく近くを、かなり
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