同じ作用をするのだ。滑《すべ》って、早く下へ行けるように考えてあるのじゃ。月人は、なかなか工夫をするのが上手だ」
そこで老博士は、正吉の方へふりかえった。正吉が熱心に聞いているのをたしかめると、にっこり笑って、また顔を正面に向け直した。
「滑《すべ》り下りると、そこには一つの関所《せきじょ》がある。重い回転扉のはまった球形《きゅうけい》の大きい洞穴《どうけつ》みたいな部屋だ。つまりこの部屋は、空気の関所だ。それより奥は、空気が濃《こ》いのだ、手前の方は空気が薄い。その境界《きょうかい》になるのが、この回転扉だ。そこでこの回転扉をまわして中へはいると、その奥には、またもや下へ下りるトンネルがある。構造は、さっきのトンネルと同じことで、まん中のところは『おすべり』ができるようになっており、両側には階段がついている。なかなか大仕掛《おおじかけ》だ」
「すると月人は、土木工事に優秀な腕前を持っていると見えますね」
「そうだよ。わしもたしかにそれを認める。月人は、あの寒冷《かんれい》で空気のない地面を持っている月世界に、自分たちの生命をつなぐためには、土木工事に上達しないわけにはいかなくなった
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