《みぞ》の中へかくれろ」
 大時計が動きだせば、わずか一分ばかりの後に大爆発が起ることが予想された。たった一分間だ。みんなのあわてたのも道理であった。
 まちがいなく一分後に、時計屋敷は大爆発し、天にふきあがり、崩壊《ほうかい》し去った。砂塵《しゃじん》のようになった破片がおさまると、さっきまで見えていた大時計台が、どこへけし飛んだか姿を消していて、屋敷跡へ目を向けた者の背筋《せすじ》を冷くした。
 五少年と七人の村人は、あやういところを助かった。
 このへんでこの物語の筆をおかなくてはならないが、まだ二つばかりお話しすることが残っている。
 その一つは、水鉛鉛鉱の埋蔵場所というのは時計屋敷の真下だったことである。爆発の跡を探しているうちに、大地が掘れて、その鉱脈のあるのが発見された。
 もう一つは、八木君を救ってこの屋敷の秘密を教えた怪囚人のことであるが、八木君は、あの硝子《ガラス》の床のある地下道がそっくり残っているのを見つけて、そこへはいっていった。しかしふしぎなことに、見おぼえのある鉄の鎖《くさり》と死神の仮面は見つかったが、かんじんの怪囚人の姿はなかった。
 怪囚人は、どうな
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