ったか。その謎だけは、今もなお解けない。
「あれはヤリウスさんの幽霊だったかもしれないよ」
と、八木君は結論をこしらえた。
「いや、もう溺死《できし》しそうになってから、君は恐怖のために、しばらく気がへんになっていたんじゃないか、だから会《あ》いもしない怪囚人に会ったように思っているのじゃないか」
四本君がそういった。
「どうも分らないね」
「とにかくふしぎなことだ」
「世の中のことは、なんでもみんな答が出るというわけにはいかないよ」
「水鉛鉛鉱の鉱脈が見つかったのは、思いがけない大手柄《おおてがら》だったね」
そこで、少年たちは晴れやかにほほえんだ。
底本:「海野十三全集 第11巻 四次元漂流」三一書房
1988(昭和63)年12月15日第1版第1刷発行
初出:「東北小国民」
1948(昭和23)年5月〜10月
「AOBA」(「東北小国民」改題)
1948(昭和23)年11月〜12月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:kazuishi
2005年12月3日作成
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