時計屋敷の秘密
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)気味《きみ》のわるい
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)代々|庄屋《しょうや》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)それは[#「それは」は底本では「それが」]
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気味《きみ》のわるい名物
「時計屋敷はおっかねえところだから、お前たちいっちゃなんねえぞ」
「お父《と》うのいうとおりだ。時計屋敷へはいったがさいご、生きて二度とは出てこられねえぞ。おっかねえ化け物がいて、お前たちを頭からがりがりと、とってくうぞ」
「化け物ではねえ、幽霊だ」
「いや、化け物だということだよ」
お父《と》うとお母《か》あが、そこで化け物だ幽霊だと、口争いをはじめてしまったが、とにかくこの「時計屋敷」のこわいことは、村の子供たちはよく知っていた。
その時計屋敷とは、いったい何であろうか。
この左内村《さないむら》の東はずれにあたる山腹に、昔からこの時計屋敷が見られた。がんじょうな塀にかこまれた邸で、まん中に二階づくりの西洋館があり、そして正面にはりだして古風な時
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