骨《はっこつ》になって檻の中に倒れているのは、門田虎三郎だったのである。
それは何者であろうか。
記憶のよい読者は、この門田虎三郎が、ヤリウスの家扶であったことをおぼえていられることと思う。
「おそろしいことだねえ」
五人の少年は、目と目を見合わせた。
「しかし、これで時計屋敷の秘密は、ついにとけたわけだ」
時計屋敷の秘密はとけた。
そうであろうか。いやいや、悪人門田家扶の遺書によってとけたのは、この屋敷の秘密の一部にすぎない。門田が知らない秘密が、まだこの屋敷に関してまだまだ残っているではないか。
水鉛鉛鉱の埋蔵場所はどこだ。
ヤリウスの最期はどうであったか。
それと八木君が地下道の奥であった死神の仮面をかぶった怪囚人との間には、なにか関係があるのか。
その二人は同一人ではあり得ない。ヤリウスが今もし生きていたら百歳をはるかに越すわけで、そんなことはあり得ないと思う。
北岸さんたちは、今どこにどうしているのだろうか。あの大時計が四時をうてば大爆発するというが本当だろうか。もし本当ならそれは誰が仕掛けたのか、ヤリウスが仕掛けたものなら、それはなぜであったか。
こう
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