ひっぱって、うしろの穴から、少年たちは中へはいっていった。
 うす暗い部屋、ぷーンとかびくさい。畳《たたみ》がしいてあるが、すっかりくさって、ぶよぶよである。
 目が暗さになれてくると、少年たちはその部屋のひろいのに気がつき、それと同時に、その部屋のまん中に、鉄格子があるのを発見した。
 鉄格子というよりも鉄の檻《おり》といった方がいいであろう。その鉄格子は、床と天井とをつらぬいていた。
「あっ、檻の中に人がいる!」
 二宮君が悲鳴をあげて叫んだ。
「なに、人だって」
 みんなこわごわ檻の方へ寄って、中をのぞきこんだ。なるほど人が倒れている。洋服を着ている男らしい。何者か。
 四本君がこのとき懐中電灯の光を、檻の中の人の顔にさしつけた。
「おや、骸骨だよ。骸骨が洋服を着ている」
「手も、白骨になっている」
 檻の中で死んでいる人物は、やはり囚人でもあろう。しかも年代がずいぶんたっているらしい。洋服を着ているところから見ると、外国人であろうか、それとも当時の新しがり屋であろうか。
「まさかヤリウスの白骨死体じゃなかろうね」
 六条君がいう。
「ヤリウスはこの屋敷から出ていったのだ。だから
前へ 次へ
全79ページ中69ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング