ひっぱって、うしろの穴から、少年たちは中へはいっていった。
うす暗い部屋、ぷーンとかびくさい。畳《たたみ》がしいてあるが、すっかりくさって、ぶよぶよである。
目が暗さになれてくると、少年たちはその部屋のひろいのに気がつき、それと同時に、その部屋のまん中に、鉄格子があるのを発見した。
鉄格子というよりも鉄の檻《おり》といった方がいいであろう。その鉄格子は、床と天井とをつらぬいていた。
「あっ、檻の中に人がいる!」
二宮君が悲鳴をあげて叫んだ。
「なに、人だって」
みんなこわごわ檻の方へ寄って、中をのぞきこんだ。なるほど人が倒れている。洋服を着ている男らしい。何者か。
四本君がこのとき懐中電灯の光を、檻の中の人の顔にさしつけた。
「おや、骸骨だよ。骸骨が洋服を着ている」
「手も、白骨になっている」
檻の中で死んでいる人物は、やはり囚人でもあろう。しかも年代がずいぶんたっているらしい。洋服を着ているところから見ると、外国人であろうか、それとも当時の新しがり屋であろうか。
「まさかヤリウスの白骨死体じゃなかろうね」
六条君がいう。
「ヤリウスはこの屋敷から出ていったのだ。だから
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