おけば、振子は動かないから安心していられると、みんなはそう思った。
みんなは、元の実験室へもどった。
はじめてその部屋を見る八木君は、四本君の話を聞いて、目をかがやかせた。そしてしげしげとこの部屋を見まわした。
「へんだね、その額は……」
と、八木君がいった。
「ああ、へんだね。絵が切ってあるところが、へんだというのだろう」
六条君がいった。
「いや、そのことではなくて、切ったカンパスの裏に板がはりつけてあることだよ。板がはりつけてあるなんて、めずらしいことだ」
そういいながら八木君は、腰かけの上にのって、傾いているその額縁を両手でつかんで裏を見た。
「む、この額のうしろの壁には穴があいているよ。穴の向こうに、部屋があるらしい。やあ、たしかに部屋だ、うす暗いけれど見えるよ」
四少年はびっくりして、腰かけにあがっている八木君の足もとにかけ集った。
意外な人
いったい、それはどんな部屋であろうか。額のうしろの秘密の穴から出入りできる部屋であるから、ただの部屋ではあるまい。
「かまうことはない。どんどん、はいってみようよ」
少年たちは元気であった。
そこで額を横へ
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