っつく。
「ふん。たいへん興味がわいてくるね。でも、ぼくには、これがなにをする部屋だか、さっぱり分らないよ。どこから調べたらいいのかなあ」
四本は、部屋の中を歩きまわる。
もう一人の二宮少年は、あいつづいて起るおどろきの事件に、すっかり心臓を疲らせたと見え、ふだんのお喋《しゃべ》りがすっかり無口になって、青ざめた顔で、みんなのそばを離れまいとして、ふうふういいながらついてくる。
「ははあ、こんなものがあったぞ」
四本が、とつぜん頓狂《とんきょう》な声をあげたので、のこりの少年たちは、彼の方へ寄っていった。
「これは何だか分るかい」
と、四本が、棚に並んでいたガラス壜《びん》の一つをとりあげて、みんなに見せた。中には、黄いろ味をおびた、やや光沢《こうたく》のある結晶している石がはいっていた。
「知らないね。いったい、それは何だ」
「これは、昔から日本にもあるといわれてたが、そのありかはなかなか知れていない水鉛鉛鉱《すいえんえんこう》だよ」
「すいえんえんこう、だって。それは何だ」
こうなると四本の話をだまって聞くより手がない。
「これは昔たいへん貴重なものとして扱われた鉱石なん
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