りません。君は早く大時計をとめて来るのです」
「いったい、どうすれば、あの大時計をとめることが出来るのですか」
「子供の力では、出来ないかもしれぬ。いや今、君に行ってもらう外に、方法はないのだ。もっとこっちへよりなさい。大時計の仕掛はこうなっている……」
 と、怪囚人は、鉄の壁へ、釘《くぎ》の折《お》れで、大時計の図をかきだした。

   大発見

 話は、四人の少年たちの方へうつる。
 地震のあとで、放《ほう》りこまれた部屋の一方の壁がするすると上にあがって、そのむこうにあらわれたのは、ほこりの積った古風な実験室みたいな部屋であり、そこに一つ額縁《がくぶち》が曲ってかかっていたが、その中の油絵はまん中が切りとられていて、なかったこと、そしてそれはどうやら人物画らしいことなど、すでに諸君の知っているところである。
「おどろいたね。どこへいっても、からくり仕掛ばかりの屋敷だ」
 あまり物事におどろかない五井少年も、こんどはおどろいた様子。
「なんだろう、この部屋は。錬金術師《れんきんじゅつし》の部屋みたいだが、おい、四本君。これは君のお得意《とくい》の科目だぜ」
 六条が、四本の背中をつ
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