が、あと一時間とたたないうちに大爆発をするんですって、それはたいへんだ。この屋敷には、たくさんの人たちがまよいこんでいるのです。ぼくの友だちも四人、この屋敷にはいっています。そういう人たちを助けてやらねばなりません。ああ、そうだ、その前に、ぼくはあなたを助けます」
「お待ちなさい、その人たちを助けること、なかなか困難《こんなん》と思います。それよりも、君に急いでしてもらいたいことは、その大爆発が起らないようにすることです」
「なんですって、この屋敷の爆発が起らないようにすることも、まだ出来るんですか。それはどうすればいいのですか」
「それは、今動いている大時計をとめることです」
「えッ、あの大時計をとめるって……あ、大時計は動いているんですね。いつ、あんなに動きだしたんだろう」
八木少年は、どこからともなくひびいて来る大時計の時をきざむ音に、はじめて気がついて、おどろいた。
「大時計は、すこし前に鉦《かね》を三つうちました。このままでは、あと一時間ばかりして、四つうつでしょう。四つうてば、この屋敷は、こなみじんになるのです」
「それはどうしたわけですか」
「わけを説明しているひまはあ
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