わらかくあたった。
(畳がしいてあるな)
 と気がついた。そしてぷーんと、かびくさい匂いが鼻をうった。
 やっと気が落ちついて、口がきけるようになってみると、懐中電灯は四本のものの外、全部がなくなっていた。さっき落ちるとき手から放したのであろう。
 そのただ一つの電灯で、四本はみんなの顔をてらした。
 五井も六条も、顔にすり傷をこしらえ、土にまみれたまっくろな顔をしていたが、まず無事だった。二宮だけは、目をまわして、のびていた。
 だが、ちょっと介抱《かいほう》すると、二宮も気がついた。大したことではなかったらしい。
「どうしたんだろう。ここはどこかな」
「居間の一つらしい、暗くてよく分らないが、あそこからあかりがもれる。雨戸《あまど》か窓か、とにかくあれをあけてみよう」
 五井が立ちあがったが、すぐぶったおれた、ロープが彼をひきとめたのだ。
「もうロープの用はない、とこうや」
「よし」
 少年たちは、ロープをときにかかった。
「おや、なにか、あやしい音がしているよ、五井君、四本君、六条君、あれは何だろう」
 二宮のおびえた声だ。
「あやしい音がするって」
「あれは時計の音だよ、さっき
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