は大きな地震だ」
「あ、こんなところにいては、あぶないね」
 がたがたと、四少年のいる板の間は大きくゆれだした。天井からは、土のようなものがばらばら落ちて来た。時計の金具《かなぐ》が、ぎしぎしきしむ。四少年は、たがいに抱《だ》きあって、ゆれがおさまるのを待とうとしたが、そのとき板の間がめりめりと音をたてて、ぐらりと傾《かたむ》いた。
 あっという間に、四少年は、傾いた板の間からすべり落ちて、下へ墜落《ついらく》していった。さっきはちゃんとしていた階段が方々ではずれていたので、少年たちはどこまでも下へ落ちていった。

   地震が奇縁

 そのままでは、少年たちは下で頭をぶっつけて死ぬか重傷を負うか、どっちかであったろう。
 だが、幸運というのか何というか、途中で、階段が裏がえしになって、斜めに空間にひっかかっていたのにぶつかった。そしてそれにぶつかったはずみに、すぐ前の壁の穴の中へずるずると滑《すべ》りこんだ。
「あッ」
 身体の平衡《へいこう》をとりもどすひまもない。一同は、はずみのついたボールのように、もんどりうってくらがりの闇《やみ》の中へ叩きつけられたが、幸いにもそこは身体にや
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