るのが本当なんだけれど、どうする」
 五井が、頭の上をさしていった。
「ぜひ、みたいものだ、しかし、下から長いはしごを持って来る必要があるね」
 六条が、そういった。
「ぼくは、時計台の天井は調べる必要はないと思う。だって、あの上は建物の外へ出るだけだからね。それよりも、時計の機械を調べたいね。なぜ、そして、どうして、この時計は停ってしまったのか、それを知りたいね」
 四本が、こういって、反対の説をもちだした。
「時計のことよりも、この屋敷へはいって行方不明になった北岸さんなんかの安否《あんぴ》を調べるのが第一の目的なんだから、やっぱり時計台の天井までのぼって、そのへんに何か隠《かく》れ穴《あな》でもないか、調べた方がいいよ」
 五井は、六条が同意したので、あくまで天井を調べたいといいはった。
「じゃあ、手分けをしてやればいいよ。君たち二人は天井を調べ、ぼくと二宮君は時計の機械を調べる」
「さんせい、ぼくは時計の方だ」
 二宮が叫んだ。
 そこで四人は、二手に分れることになったが、まだロープをとくところまでいかない前に、とつぜん意外なことが起こった。
「あ、地震らしいぞ」
「うん、これ
前へ 次へ
全79ページ中39ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング