一つ征服していった。
階段は上になるほど狭くなり、そして粗末《そまつ》になった。もうジュウタンなんか見られなかった。板ばりに塵埃《じんあい》や木の葉がたまり放しであった。だがそこにも落とし穴が二つも仕掛けてあった。
「なるべく階段の端《はし》を通った方がいいようだ、まん中を歩くと、落とし穴の仕掛が働くらしい」
四本は、早くも階段の秘密を見ぬいた。
いよいよ時計塔の中へ、先頭の五井は足をふみこんだ。階段はいよいよ狭くなり、人がひとりやっと通れるくらいだ、そして天井は高いが、室内はまっくらであった。懐中電灯の光をたよりに、あがっていくよりほかなかった。
その光の中に、複雑な機械が、照らしだされた。今はもう死んだように動かなくなったこの時計屋敷の大時計の機械らしい。少年たちは、今こそ古い秘密と向かいあったのだ。
高い天井
「みんな、心をしっかりもっているんだよ」
先頭にすすむ五井が、うしろの連中に、最後の注意をあたえた。
「うん、大丈夫だよ」
「心配するな」
「ほんとに、おちついて、しっかりしてくれよ、どんなお化けが出たって、こわがってはだめだよ」
「こわがるくらいなら、
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