四少年は、ロープの間隔をおいて、五井から順番に階段をのぼりはじめた。
 やがて五井が、階段を中二階までのぼり切った。そのとき、しんがり四本が、階段の第一段に足をかけた。
 この階段は、まず異状がなかった。
 次は、中二階から二階へあがる階段だ。これは今までの半分位の短い階段だった。先頭を五井がのぼる。
 がたん。
 大きな音がして、「あっ」と五井の叫び、五井の身体は、階段の中ほどに、とつぜん開いた穴の中へもんどりうって消えた。
「あっ、しまった」
 六条が前にのめる。
 二宮が、うわッといって悲鳴をあげる。
「うぬッ」と、しんがり四本が顔を真赤《まっか》にして、そこへ伏せる。「みんな、その位置を動くな」
 幸いにも、五井は救いだされた。他の三名が、早く身体を伏せたからよかったのだ。
「ああ、ひやっとした。いったいこの屋敷には、落とし穴がいくらあるんだろう」
 五井は、落し穴からひっぱり上げられると、にこにこ笑いながらいった。彼は、ようやくこの種の冒険になれて、もう大しておどろかなくなったらしい。
 他の少年にも、危険とたたかう自信ができたようだ。このようなやり方で、少年たちは階段を一つ
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