そして左東左平が手をつけたところは、まず、安全だと思っていいし、ヤリウスがやったままの部屋などに対して、十分注意したほうがいいと思うね」
四本は、さすがに目のつけどころがよかった。
時計塔への道
「それでは、今日の目標第一は、時計塔として、塔の頂上まであがってみようじゃないか」
五井は、一同の顔を見まわした。
「ああ、行こう」
少年たちは、武者《むしゃ》ぶるいした。
「すると、塔へあがる階段を見つけるんだ。行こうぜ、いいかい」
「いいとも」
前進を開始した。
かびくさい部屋をいくつか通った。
色のさめたカーテンに手をかけると、紙のようにベリベリとさけた。そして頭上からどっと何十年の埃《ほこり》が落ちて来た。少年たちは、そのたびに息がつまった。
そのうちに、大きな部屋に出たと思ったら、そのむこうに階段がみえた。螺旋《らせん》形に曲った広い階段で、その真中には赤いジュウタンがしいてあった。そのジュウタンのふちは黒であった。
「ああ、あれだ、時計塔へのぼる階段は――」
少年たちは階段の下へかけつけた。
「気をつけてのぼるんだぜ、ちゃんと間隔をとって登ろう」
そこで
前へ
次へ
全79ページ中34ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング