ていなかった。
「奥へ行ってみよう」
「ちょっと待った」と四本がとめた。
「このまま進むことは危険だ。そこでロープでもって、ぼくたちの身体をしばっておいた方がいいと思う。つまりロック・クライミング――岩のぼりのときと同じように、もし一人が危険におちいったら、あとの者がロープをたよりに、助けあうのだ。そうすれば、とつぜん落とし穴へ落ち込むようなことはなくなるだろうと思う」
この四本の考えは、もっともだったので、他の少年たちも賛成して、たがいの身体を、ロープでしばることになった。
先頭は五井、次が六条、それから二宮、しんがりが四本だった。そしておたがいを結ぶロープの長さは三メートルとした。そして、危いと思われる場所へかかったときには、その間隔《かんかく》で展開することとし、別に危険がなさそうなところでは、普通に、寄りそって進むことにした。
こうして、四少年は屋敷の奥へ向かって前進をはじめた。
「たしかに、この屋敷の建て方は、一風かわっているね、間取も、奇妙だ」
四本が、あたりを見まわして、感じたことをもらした。
「気味がわるいね」
と、他の少年たちも相づちをうった。
「西洋建築は
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