は、すばやく身構《みがま》えをして、ぐるっと四方八方をにらみまわした。そこは一坪ばかりの円形の穴倉《あなぐら》になっていた。そこから一方へトンネルがつづいていた。
(どこへつづいているトンネルだろうか)
分らない、その奥のことは。
ガラス天井《てんじょう》
八木少年は、すかしてみたけれど、奥はほの明るいだけで、はっきりしたものの形は見えない。
(あの明るさは、どこからさしこんでいる明るさだろうか、あそこまで行けば、もっとこのトンネルの中のことが分るかもしれない)
そう思った八木は、とことことトンネルを歩きだした。
行きついてみると、その明るい場所は、トンネルの曲りかどになっていた。明りは右手からさしこんでいる。その右手をのぞきこむと、扉があった。
その扉は、さびた鉄の扉だった。
ハンドルがついていたので、それをにぎって、扉をあけようと、いろいろやってみた。しかし扉はびくともしなかった。さびついているのかもしれない。
(この扉があくと、きっと、おもしろいことが分るんだろうが、ざんねん……)
そのときであった。八木の立っているところが、急に光がかげったように暗くなっ
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