は、しーンとしている。このから井戸は、無限地獄によく似ているよ」
「まあ、そんな話はどうでもいい、こういうものを発見した以上は、ぼくたちはこの井戸を下りていって、中を探偵しようじゃないか」
「うん、それがいい」
「よし、やるか。やるなら、下へ綱《つな》を下ろそう。その綱の端《はし》を、どこかしっかりしたところへ結びつける必要がある。ああ、これがいい、ここに鉄の棒《ぼう》が出ているから」
その鉄の棒は、塀をつくるときに、骨組《ほねぐみ》としていれたものであったらしい。それに少年たちが持ってきた綱を結びつけ、それから綱をおそるおそる井戸の中へたらした。
「下へついたか」
「うん、まだまだ。……あっ、今、綱の端が下についたらしい、ずいぶん深いね。十五メートルぐらいある」
「深い井戸だなあ」
「さあ、誰が先に下りるか」
「よし、ぼくが下りる」
そういったのは八木だった。彼は探偵長だったから、自分が一番はじめに下りるのがあたり前だと思った。
「大丈夫かい、入る前に、よく中を見た方がいいんだが、懐中電灯を紐《ひも》にぶら下げて、中を見ようか」
「いや、そんなことをしたら、悪いやつに見つかるかも
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