の大きさで、大して重くなかった。
 いよいよ鎮守さまの境内を出て、五人の少年がかたまって時計屋敷の塀のそとへついたのは午後二時五十分であった。
 急に黒い雲が太陽をさえぎったために、日がかげった。そしてどこからともなく冷っこい風が起って、少年たちのえりくびを吹いた。少年たちは、ぞっとしてくびをちぢめた。
 時計台のある怪屋敷は、崩れかけた塀を越した向こうに、何かものをいい出しそうに立っている。時計台の時計の針は、あいかわらず二時を指したままだ。
 勇ましいことをいって、ここまではやって来たが、なんだか急にうす気味が悪くなった。天候がにわかに変って、嵐もようになったのも、その原因の一つにちがいない。
「さあ、元気を出して、はいろうぜ」
 八木のうながすような声に「うむ」と返事をした。八木はつかつかと、崩《くず》れた塀《へい》のところへ進み、手をかけてその上にのぼった。そうしてうしろを向いておいでおいでをすると、塀を内側へとびおりた。
 それを見て、残りの四名の少年探偵も、やはりこれまでと覚悟をきめ、つづいて塀によじのぼり、それから塀の内側へとびおりた。
「おや、八木君はどこへいったんだろ
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