もれちゃったか」
 八木団長は、大きくため息をついた。
「いいじゃないか、カズ子さんなら、秘密をまもってくれるよ、だってカズ子さんのお父さんも、あの行方不明になった一人なんだからね」
 六条君がいった。[#「いった。」は底本では「いった」]カズ子は、副班長として時計屋敷の掃除にはいっていった吉見勤《よしみつとむ》の娘だった。
「ええ、あたしは秘密をまもりますわ、そしてお礼を申しますわ、お父さまたちを探し出してちょうだいね。また、あたしたち女の子に手つだうことがあったら、喜んで手つだいますわ」
「うん、またたのむかもしれないけれどね、とにかくぼくたちのことは、だまっているんだよ」
 八木団長は、そういって、カズ子に念をおした。
 さて少年たちは、午後二時に、学校がひけると、一度家へかえったあとで、そっと家をぬけ出して、集合所の鎮守《ちんじゅ》さまの境内《けいだい》へ急いだ。
 午後二時二十分に、五人の少年探偵は、せいぞろいをすることができた。
「じゃあ、いよいよ出かけよう、今日は、時計屋敷の中へはいっても、時計の塔までのぼれば、それで今日の仕事はすんだことにして、すぐ外へ出よう、ねえ」

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