にいえば、ぼくは文句なんかいやしなかったんだ」
 二宮少年はむずかし屋の四本君が、自分と同じく時計屋敷探険を強く主張していることを知って、そういって笑いだした。

   嵐の声

 五人の少年探偵団ができあがった。
 団長は、選挙の結果、八木音松がつとめることになった。
 さっそく団長が、あいさつをすることになった。
「第一に、みんなのまもらなくてはならないことは、幽霊や化け物をおそれないで、四本君のいったように、おちついて観察し、その正体を見きわめることです。第二に、ぼくたちは協力し、団結しましょう。捜査にあたってばらばらになって、自分の好き勝手をすると、成績があがらないでしょう」
「そうだ、そうだ」
 と、二宮少年がこうふんして叫んだ。
「それから第三に、ぼくらが探偵となって時計屋敷の捜査を始めたということを、ぜったいに他の誰にも知られないようにすること」
「あら、いやだ。すっかり聞いてしまったわよ」
 ふいに、うしろで女の子の声がした。五人の少年探偵がおどろいて、声のした方をふりむくと、一人の女生徒がにやにや笑って立っていた。
「あ、吉見カズ子ちゃんか、困ったなあ、もう秘密が他へ
前へ 次へ
全79ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング