のである。であるから、どっちにしても死の頤《おとがい》を逃れることは出来ない。
ああ、今になってぶつぶついっても仕方がないが、どうしてわが当局は、抱合兵団《サンドイッチへいだん》の攻略に気がつかなかったのであろうか。およそ攻撃目標たるわれわれが、敵軍の空中からの爆撃を避《さ》けて地下に潜《もぐ》り、空爆|更《さら》に効果なしと分れば、敵軍はこんどは手をかえ、地中深くからわれわれの住居地を攻撃するであろうことは、素人《しろうと》にも分ることではないか。
何を今更《いまさら》、五万台にのぼる敵の地底戦車兵団をわれわれの足の下に迎え、あれよあれよと騒いで間に合うものか。
「市民たちは、即刻《そっこく》地上に避難せよ。地上に出た方が、まだ被害程度が軽いであろう」
そういって、わが護衛司令官は布告《ふこく》をしたが、それもいい加減《かげん》の対策だったことが、間もなく判明した。なぜといって、何十年ぶりかで市民たちが地上へ頭を出したとたん、待っていましたとばかり、敵白人帝国の空中兵団は、われわれ同胞《どうほう》の上へ襲いかかったのである。猛爆、また猛爆、その惨状《さんじょう》は聞くにたえない
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