努力していく人間の力もまた、ばかにならないものだ」
「敗戦日本には今一台の飛行機もないけれど、わたしたちと同じ同胞であるアメリカ人やイギリス人やソ連人などは、たくさんの飛行機を持っている。だから人類全体として考えると、わたしたちはやっぱり飛行機をうんと持っていることになるんだ。そうですね、おじさん」
「そういう考え方をしてもいいね。日本人がもっともっとりっぱな行いをするようになって、世界の人々から信用されるようになったら、そのときには日本人にも飛行機をのりまわすことが許されるだろう。悲観することはない」
「じゃあ、原子力を使って、宇宙旅行をする日もやがて来ますか」
「日本人に対する信用が回復すれば、そういう日も来るにきまっている」
「うん。そんなら、いいなあ。じゃあ、ぼくたちは今からうんと勉強をしておかなくてはね。さあたいへんだ。急に仕事がふえたぞ。ぐずぐずしていられないや」
「三四郎君。君は今日うちへ来たとき、生きているのがいやになったといってたが、今はどうだね」
「おじさん。あんなことは、もう思っていませんよ。それよりも、ぼくはうんと長生きをしたいと思うようになりました。うんと長生
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