身の力をつかい切ったと思った。
希望の光は
「なぜ――なぜアトランチス大陸は、海の下に沈んでしまったの」
三四郎は、あえぎながら、たずねた。
「月の一つがなくなったら、地球の上の潮のみちひきが急にかわったのだ。月の海水に働く引力によって、潮のみちひきが起り、また海の水の高さがきまるのだ。月が一つなくなったために、アトランチス大陸のところでは海の水位があがって、大陸をのんでしまったのだ。自然の力は、大きいもんだね」
「人間の力なんて小さいですね」
「そうもいえまい。だってアトランチス大陸は亡んだが、それから一万年以上たって今はどうであろう。このとおり人間はいたるところにふえ、世界は栄えているのだ」
「そうだ。いつの間にか人間がふえた」
「文化も進んだ。アトランチス時代には、思いもつかなかったことだが、今は人類は空をとぶことも出来る。また原子力を使って、大きな土木仕事をおこしたり、宇宙旅行をすることも、やがて出来るのだろう。もしアトランチス時代に飛行機があり、原子力を使うことを知っていたら、多数の人が、他の大陸へ渡って生き残ったかもしれない。――自然の力も大きいけれど、たゆまず
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