ってみれば、戦争科学というものは、げにげに面白いもんだのう」
と、たいへん興味を湧かしたようであった。ことに、首都が雲南省のはずれのところまで移動したことについても津々たる興味をもち、もしもう一度空爆をさけて西に遷都をする必要を生じた暁には、首都はどこに移るのか、もしそれがバモとかマンダレに移ったときにはそこはインド王国内であるから、首都は首都であっても果して地理学上、中国の首都といえるかどうかについて、疑義をもったようであった。
しかし馮大監は、それは本日の使命の外のことであるからといって、解答を辞退した。実をいえば、彼にはそれがどういうことになるのかよく分らなかったのでどうせ返答のしようがなかった。
「ええ、ようござる、ようござる。なんとかやってお目にかけると、チャンスカ某《なにがし》にいっておいて下されい」
と、楊《ヤン》博士はすこぶる快諾の意を表したのであった。
それを聞いた馮大監は、大いに面目を施して忝《かたじけな》いと、大よろこびで辺境の首都さして帰っていった。
そこで楊《ヤン》博士は、俄然仕事ができて、たいへん愉快そうに見えた。
「軍艦を殲滅する一大発明をなし、
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