《けっき》を先頭として続々大仕掛けの捜査隊が派遣せられ、凡《およ》そ一年半近くも蒙古《もうこ》、新疆《しんきょう》、西蔵《チベット》、印度《インド》を始め、北極の方まで探し廻ったが、皆目《かいもく》消息がしれなかった、というのでしたね。海中に墜落しているのじゃないかと紫外線写真器でありとあらゆる洋上で撮影をやってみたのだが、矢張《やは》り駄目だったというのでしたね」
「おお、先生はよく覚えていて下さいました。実は、私もあの事件に関係がある人間なので捜査に奔走《ほんそう》しましたが……」
「そうでしたね。相良さんは、松風号の設計家の一人だったのですな」
「やあ、これまで御存知でしたか。それで私はどんなにか手を尽《つく》して探したことでしょう。私自身も探検隊を組織して印度の国境からゴビの沙漠《さばく》へかけて探しにゆきました。結果は何等得るところなしでした。全く行方がわからない。これ程さがして知れないものなら、松風号は空中爆発でもして一団の火焔《かえん》となって飛散したのじゃないか、と随分無理なことまで思いめぐらして見たものでした」
「なるほど」
「ところが最近、恐しい発見にぶつかりました
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