空中墳墓
海野十三
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)醒《さ》めた
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)栗戸|利休《としやす》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)機首を[#「機首を」は底本では「機種を」]西南に
−−
ぽっかり、眼が醒《さ》めた。
ガチャリ、ガチャリ、ゴーウウウ。
四十階急行のエレベーターが昇って来たのだった。
「誰か来たナ」
まだ半ば夢心地の中に、そう感じた。職業意識のあさましさよ、か。
この四五日というものは夜半から暁にかけてまでも活躍をつづけたので身体は綿のごとく疲れていた。それだのに、思ったほどの熟睡もとれず、神経は尖《とが》る一方であった。
今も急行エレベーターで昇って来た人間が、果して自分のところへ来るのだか、または他へ行くのだかわかりもしないのに、寝台の上で息を殺して待っている自分がおかしかった。
途端に身体に感ずる感電刺戟《かんでんしげき》、執事《しつじ》の矢口《やぐち》が呼んでいるのだった。さてはいよいよお待ち兼ねのお客様であるか。寝床をヒラリと飛び下ると、直ぐ左
次へ
全32ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング