え》で、だんだんと集り、義勇隊《ぎゆうたい》を組織して行った。それには出征に、取残された男は勿論《もちろん》のこと、女もあれば、老人もあった。帝都の秩序は、平時以上に恢復した。涙を流している者は、一人も見当らなかった。皆が皆、燃えるような愛国心、鉄のような忍耐心を持って兇暴な敵の空襲に立ち向ったのであった。
 国民のこの盛んなる意気は、敵艦敵機を向うに廻して奮戦している太平洋上のわが兵員の上にも、響いていった。
 攻撃力の弱い旧型|駆逐艦《くちくかん》の如きは、敵の航空母艦に撃沈されるのは覚悟の上で、それでも万一|天佑《てんゆう》があって撃沈までの時間が伸びるようだったら、その機を外《はず》さず、下瀬火薬《しもせかやく》のギッシリ填《つま》った魚雷《ぎょらい》を敵艦の胴中《どうなか》に叩き込もうと、突進して行った。
 潜水艦の機関兵員は、熱気《ねっき》に蒸《む》された真赤な裸身《らしん》に疲労も識《し》らず、エンジンに全速力をあげさせ、鱶《ふか》のように敏捷《びんしょう》な運動を操《あやつ》りながら、五度六度と、敵の艦底を潜航し、沈着な水雷手に都合のよい射撃の機会を与えたのだった。
 
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