不自由な老人が、優しく尋《たず》ねた。
「うん、まアだ、何にも見えないよ。おじいちゃんのお耳にはまだ飛行機の音は聞えないの」
三吉は大きな黒眼をグルグル動かして、下から祖父の顔を見上げた。
「飛行機の音はしないけれどネ、大砲の音はだんだん近くなって来たよ。プロペラの音は小さいから、飛んでいても中々区別がつかないのだよ。三ちゃん、見落さないように、左から右へと、ソロソロ見廻わしているのだよ」
「ああ、いいよ。僕、早く見付けて、伯父さんの拵《こさ》えたこの電話機でネ、東京に住んでいる人と話をしたいの」
「そうか、そうか」
「さっき僕と話をした東京の人は、お姉ちゃんだったよ」
「電話局の交換手さんだからネ、交換手はお姉ちゃんに極《きま》っているのだよ」
「そのお姉ちゃんに僕、訊《き》いてみたの。お姉ちゃんには、お母ちゃんと、そいからお父ちゃんもいるのッて尋《たず》ねたらネ……」
「うん」
「お父ちゃんも、お母ちゃんも居る筈なんだけれどネ、アメリカの飛行機が爆弾を落として、お家を焼いちゃったもんだからネ、どこへ行っちゃったか、判らないのッて云ってたよ。可哀想《かわいそう》だねーェ」
「――オ
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