ついて逡《たじろ》いだ。
「呀《あ》ッ」
という瞬間に、宙乗りの人物は、右手《めて》を横にグッと伸ばすと、戸波博士をヤッと抱きあげた。博士の両足は、地上を離れた。
それを合図のように、飛行機は、又|漠々《ばくばく》たるプロペラの響をあげ、呆気《あっけ》にとられている「狼《ウルフ》」の一団を尻目に、悠々と空中へ舞い上っていった。
「これで、祖国は救われたッ」
草津大尉が、沈痛な声を発して、ハラハラと涙を流した。
「さア、これで安心して、やっつけてやるぞオ」山太郎が「狼《ウルフ》」の腕をねじあげた。
「大尉どの、磯崎へ急ぎましょう。どんなものを拵《こしら》えているか、心配です」そういったのは帆村探偵だった。
陸軍偵察機の縄梯子の上では、戸波博士と警備司令部の快漢塩原参謀とが、感激の色を浮べて、挨拶を交《か》わしていた。
空襲葬送曲《くうしゅうそうそうきょく》
磯崎《いそざき》神社前の海辺《うみべ》に組立てられた高さ五十尺の櫓《やぐら》の上には、薄汚れた一枚の座布団《ざぶとん》を敷いて、祖父《そふ》と孫とが、抱き合っていた。
「三ちゃんや、まだ何にも見えないかい」眼の
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