り仆《たお》されるような窓外《そうがい》へ首を出したのは、例の私立探偵帆村荘六に外《ほか》ならなかった。
「ねえ帆村さん」もう一つの声が、隅ッ子のクッションから聞こえた。大きな図体《ずうたい》の男、それは戸波博士の用心棒だった筈の山名山太郎であった。「先生は、大丈夫でしょうな」
「なんとも云えない」帆村は、唇を僅かに綻《ほころ》ばして云った。「なにしろ用心棒の山名山太郎氏が傍にいないものだからネ」
「もうそいつは言いっこなしにしましょう」
 山太郎は極《きま》りわるそうに頭を抱えた。
 どうやら一行の目的は、国宝の科学者戸波博士を捜し出そうということにあるらしい。
「茨城県磯崎に『狼《ウルフ》』の巣を見付け出したのは、何といっても驚嘆《きょうたん》すべきお手柄だ」草津大尉は、前方を注視しながら、独言《ひとりごと》のように云った。
「いやそれは二人の女性の手柄なんです。一人は危険を覚悟で『狼《ウルフ》』の身辺《しんぺん》につきまとっている紅子《べにこ》というモダン娘、もう一人は、紅子の密書を拾って逸早《いちはや》く僕のところへ通報して寄越した真弓《まゆみ》という若い女」
「ほほう、密書を
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