「行こう、行こう。メリーのために」
忽《たちま》ち米艦隊の真上には、蜜蜂《みつばち》の巣を突《つつ》いたように、二千台の戦闘、偵察、攻撃、爆撃のあらゆる種類を集めた飛行機が一斉に飛び上った。天日は俄かに暗くなった。
これに対して、精鋭を謳《うた》われた皇軍の飛行機は、三百台ばかりが飛んでいたが敵の大空軍に較べて、なんと見窄《みすぼら》しく見えたことであったか。流石《さすが》に沈着剛毅な海軍軍人たちもこの明かな数量の上の不釣合に重苦しい圧力を感ぜずにはいられなかった。
勝敗は、何処《いずこ》へ行く?
愛国者よ頑張《がんば》れ
千葉県を横断して、茨城県に通ずる幅の広い県道を、風を截《き》って驀進《ばくしん》する一台の幌自動車があった。スピード・メーターの指度は四十|哩《マイル》と四十五哩との間に揺《ゆら》めいているほどの恐ろしい高速度であった。
「もう水戸が見える筈だ」そう云ったのは、賊を追って、お茶の水の濠傍《ほりわき》から、戸波研究所の地下道を突撃して行ったことで顔馴染《かおなじみ》の、参謀|草津《くさつ》大尉であった。
「まだ飛行機は見えないようですな」張《は》
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