ーチス機隊の上空を指して急行した。
 敵のボーイング機隊が、北方に流れる浮雲《うきぐも》の中から現われて、これを圧迫する態度を示した。
 その隙に大航空船メーコン号、ラオコン号の側面に我が飛行艇隊が近づいて行った。メーコンとラオコンとの艦腹《かんぷく》に開く強力なる機関砲は、鼻を並べて、殷々《いんいん》たる砲撃を開始した。
 日米両艦隊の戦闘は、いまや順序を捨て、予測を裏切り、いずれが進むか退《ひ》くか、俄《にわ》かに計り知ることの出来ない疑問符号に包まれた。
 胸をふさぐような煙硝《えんしょう》の臭い、叫び声をあげて擦《す》り脱《ぬ》ける砲弾、悪魔が大口を開いたような砲弾の炸裂、甲板《かんぱん》に飛び散る真紅な鮮血と肉塊《にくかい》、白煙を長く残して海中に墜落してゆく飛行機、波浪《はろう》に呑《の》まれて沈没してゆく艦艇から立昇る真黒な重油の煙、鼓膜《こまく》に錐《きり》を刺《さ》し透《とお》すような砲声、壁のように眼界を遮《さえぎ》る真黄色の煙幕、――戦闘は刻々に狂乱の度を加えて行った。
 その頃、米国艦隊の主力は、十六隻の単横陣《たんおうじん》を作り、最も後方にいたが、漸《ようや
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