ジンに噴《ふ》きこまれて行った。ビューンとタービンは、甲高い響をあげて速力を増した。機関室の温度計の赤いアルコール柱はグングン騰《あが》って行った。
 途端《とたん》に、艦列を斜めに外《そ》れて、又一連の水煙りが上った。二度目の砲弾が降って来たのだった。照準は、最初よりも狂いがひどく入って来たので、敵艦隊は、明かに狼狽《ろうばい》の色を見せはじめた。
「取舵《とりかじ》一杯」
 司令艦の衣笠《きぬがさ》から青葉《あおば》、古鷹《ふるたか》という順序で見る見るうちに、艦首が左へ、ググッと曲って行った。
 キリキリキリー
 それに応じて、六門の主砲が、右舷の方へ旋回して行った。
 測距儀《そっきょぎ》に喰い下っている士官は、忙しく数字を怒鳴っていた。砲術長は、高声器から、射撃命令を受けとると腕時計を見守りながら電気発火装置の主桿《しゅかん》を、ぐッと握りしめた。
(もうあと、五秒、四秒、三秒、二秒……)
 もう一秒だッ。
「そこだッ!」
 ううーンと主桿を倒した瞬間に、くらッくらッと眩《くら》むような閃光が煌々《こうこう》と、続いてずしーンと司令塔が真二つに裂けるような、音とも振動ともつか
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