ッ、ぱッ、ぱッ、ぱッ――
 敵軍の偵察艦隊から、殆んど同時に、真黄色《まっきいろ》な煙が上った。十門|宛《ずつ》の八|吋《インチ》砲《ほう》が、一斉に火蓋を切ったのだった。
 ど、ど、ど、どーン。
 ぐわーン、
 加古《かこ》、古鷹《ふるたか》、青葉《あおば》、衣笠《きぬがさ》の艦列から千メートル手前に、真白な、見上げるように背の高い水煙が、さーッと、奔騰《ほんとう》した。どれもこれも、一定の間隔を保って、見事に整列していた。もう千メートルほど、近かったら、我が軍の精鋭なる巡洋艦隊は、可也《かなり》大きい損傷を蒙《こうむ》る筈であった。
 五秒、十秒、十五秒、煙りが、斜横に、静かにずれて行った。
 シカゴ、ルイズヴィル、ハウストン、イリノイ、フェニックスの砲口は、次の射撃に備えるために、じわじわと仰角《ぎょうかく》をあげて行くのが見えた。
 司令艦衣笠の司令塔からは、全艦へ向って急遽《きゅうきょ》命令が伝達された。
「全速力三十六|節《ノット》!」
 驚くべき命令が発せられた。
 給油管は全開となり、喞筒《ポンプ》はウウーンと重苦《おもくる》しい呻《うな》りをあげ激しい勢いで重油がエン
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