、浩も、真弓も、聞いて貰いたいことがあるんだ。外《ほか》でもないが、いよいよアメリカの飛行機が、この浜の上へ沢山攻めてくるということだが、聞けば、監視に立つ人数が足りないと、町長さんの話じゃ。何でも、防空監視哨というのは、眼と耳とが確かならば勤《つとま》るそうじゃが、其処で考えたことがある。お前達も知っているとおり、わし[#「わし」に傍点]は元、海軍工廠《かいぐんこうしょう》に勤めていたものの、不幸にもウィンチが切れ、灼鉄《しゃくてつ》が高い所から、工場の床にドッと墜ち、それが火花のように飛んで来て眼に入り、退職しなけりゃならなくなって、それからこっち、お前達にも、ひどい苦労を嘗《な》めさせた。おれはいつも済まんと思っているよ」
「お父さん、愚痴《ぐち》なら、云わん方がいいですよ」浩が心配して口を挿《はさ》んだ。
「いや、今日は愚痴ばかり並べるつもりじゃないのじゃ」老父《ろうふ》は強く首を振って云った。「そんなわけで、わしは、海軍工廠をやめたが、お国のために尽《つく》そうという気持は、更に変らないのじゃ。変らないばかりじゃあ無い。先刻《せんこく》のように、折角大事の防空監視哨に立つ人が
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