「ほーン、ほーン」
 街道の砂煙りを、パッと一時に、濛々《もうもう》と立ち昇らせて、果せるかな、立派な幌型《ほろがた》自動車が、二台も続いて、家の前を通りすぎた。
「オヤ※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」
 彼女は、首を振った。
「あれは、どうやら……」
 そこへ、往来《おうらい》から、七つばかりの男の子が駈けこんできた。
「お母ァちゃん。――」
「まア、三吉。お前、どこで遊んでいたの。いまみたいな自動車が通るところへ、出ちゃ駄目よ」
「ああ、僕出ないよ。――そいで、あの自動車、こんないいものを落としていったよ」
 そう云って三吉は、美しい外国製のチョコレートの函を母親の前に見せびらかした。
「あら、そんなものを拾ってきちゃ、いけませんよ」
 真弓は、チョコレートの箱を、子供の手から一旦とりあげたが、不図《ふと》気付いて、中をあけて検べた。中には、錫箔《すずはく》に包んだ丸いチョコレートが、たった一個、入っていたばかりだった。彼女は、その錫箔を剥《は》がしてみた。すると、錫箔の下に、栗色《くりいろ》のチョコレートは無くて、白い紙でもう一重《ひとえ》、包んであった。その白い紙を剥《は
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