止《や》めなかった。
「敵機三台に対し、こっちは一台の割だな。敢《あ》えて恐れるわけではないけれど、数理に合っているとは、考えられない」藤戸大尉は頭の中に数字を浮べているらしく、独りで呻《うな》った。
「そりゃ訳があるのサ」又、千手大尉が勢《いきおい》を盛りかえして、籐椅子からスックリ立上った。
「いいかね、敵機二千機、そりゃいいサ。それが一時に飛上ろうとしたって飛び上れるものじゃない。いくら空が広いからって、ページェントじゃないから、蝗《いなご》が飛ぶようなわけには行かない。まァ精々《せいぜい》三分の一の六百機だ。六百機が、飛び上ったとしても、彼等の着艦は、頗《すこぶ》る困難になる。そういうことは、彼等がよく知っているから、自然|尻込《しりご》みをしてサ、実際現れる飛行機はそのまた三分の一で、二百機サ。ところが、我が飛行将校は、飛行甲板なり、カタパルトから飛び出すことは知っているが、着艦しようなどというケチ臭《くさ》い根性は持ち合わしていない。二百機が飛び出せば、二百機がフルに働く。ボーイング機が如何に速くともカーチス機が如何に優《すぐ》れた性能を持っているにしても、最後の勝利はこっ
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