建物の内部です」
「よオし、部下を集結するんだ。一度に、飛び出そう」
「承知しました」少尉は、合図の懐中電灯を波形《なみがた》に、うちふった。ゾロゾロと部下が、集って来た。
頃合《ころあい》はよかった。
「突撃《とつげき》だッ。一《ひ》イ、二《ふ》ウ、三《み》ッ!」
ワッと喊声《かんせい》をあげて、一同は手に手に、拳銃を持って、飛び出した。扉らしいものを、いきなり蹴破《けやぶ》ると、地下室の広い廊下が、現れた。
薄暗い廊下灯の蔭に、猿轡《さるぐつわ》を噛まされ手足を縛《ばく》されて転っている一人の男があった。その外《ほか》に、人影は、見えなかった。道後少尉は、倒れている男を起して、猿轡をとってやった。それは、戸波研究所に、博士の身辺を守っている筈の山名山太郎だった。
「早く階上へあがって、窓を検《しら》べて下さい」
山太郎は、泣かんばかりに喚《わめ》いた。
ドヤドヤと、一同が、階段を駈け上ってみると、三階の西窓が、そこだけは歯が抜けたように、硝子《ガラス》窓が開いて居り、頑丈な一条の綱《ロープ》が、真向うの××産婦人科院の、物乾台のところへ架け渡されているのが発見された。
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