、犬吠崎をめがけて驀進《ばくしん》していった。
「第二編隊長、ミルレニエフ」
「おう、われ等が司令。破甲弾の投下準備は既に完了しあり」
「貴官は東京湾上より北上して、まず品川駅を爆撃したる後、丸《まる》の内《うち》附近より上野駅附近にわたる間に存在する主要|官公衙《かんこうが》その他重要建造物を爆撃し、東京市東側地区の上空に進出すべし。但し、東京市上空に進入の時期は第一隊より五分後とす」
「承知」
 第二編隊は爆撃隊だった。
 すぐに機首を西南の方に廻して、本隊を離れていった。
「第三編隊長、ボロハン!」
「おう……」
 この編隊は、地雷弾と毒瓦斯弾とを半分ずつ持っている。
「貴隊は松戸《まつど》附近より、東京の北東部にでて、まず環状線道路及び新宿駅を爆撃破壊したる後、東京市北部及び西部の繁華なる市街地に対し瓦斯弾攻撃を行い、住民をして恐怖せしめ擾乱《じょうらん》を惹起《じゃっき》せしむべし!」
「承知!」
 第三編隊も、隊列を離れていった。第四編隊と第五編隊とは毒瓦斯と焼夷弾、第六編隊は地雷弾をもって、川崎《かわさき》横浜《よこはま》方面の爆撃を命ぜられた。毒瓦斯弾と細菌弾とを持った
前へ 次へ
全99ページ中84ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング