京から真北の那須、群馬県へ入って四万《しま》温泉のあるところ、それから浅間山、信州の諏訪の辺を通って静岡へ抜け、山梨県を包み、それからいよいよ南の方へ、伊豆半島の突端|石廊崎《いろうざき》から、伊豆七島の新島、更に外房州の海岸から外へ六七十キロの海上を点々と綴《つづ》り、鹿島灘の外を通って、元の勿来関へ帰るという大円だ。これが防空監視哨の最も外側に位置をしているもの、それから以内には、三重四重に監視哨を配置してあるんだが」
「聴音隊はどうです」
[#「帝都防空配置図」(fig3517_01.png)入る]
「聴音隊はその内側に並べてあるが、これも東京を三重四重に包囲している。一番外側の聴音隊は、北から西へ廻って云ってみると、埼玉県の粕壁《かすかべ》、川越、東京府へ入って八王子、神奈川県の相模川に沿って鎌倉へぬけ、観音崎《かんのんざき》までゆく。浦賀水道にも船を配して聴いている。千葉県へ入って、木更津《きさらづ》から千葉をとおり、木下《きおろし》、それから利根川について西へ廻り、野田のすこし北を通って元の粕壁へかえるという線――この線以内に聴音隊が配置されてある」
「防護飛行隊が、監視哨
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