きをあたえないものだった。
「骸骨の二」の戸を開くと、そこにもやはり細い針金ざいくのかごのようなものがあった。これは三稜《さんりょう》の柱《はしら》のようであった。
 川内警部は、早くもその前を通りすぎて、つぎなる戸の前へ行ったが、長戸検事はその前に足をとどめて、首を横にかしげた。彼はその三角形の柱が、なんだか背のびをしたように感じたからである。
「骸骨の三」には、やはり針金で、クラゲのような形をしたものがはいっていた。警部はいよいよがまんがならないというふうに、鼻をならした。博士がおどろいて、警部の方をふりかえり、嘆願《たんがん》するようにおがんだ。それから「骸骨の四」の戸のまえへ進んで、それを開いた。
 とたんに博士の顔が、大きなおどろきのためにゆがんだ。博士いがいの者にはわからないことだったが、「骸骨の四」のガラス箱の中はからっぽだったのである。
 博士は顔色をかえたまま、係官をつきのけるようにして、左側の壁にはめこんである配電盤の前にかけつけた。そしてほうぼうのスイッチを入れたり、計器の針の動きをにらんだり、ブラウン管の緑色の光りの点の位置を、目盛りで読んだりした。
「針目さん
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