蜂矢は息を切って、さっきかれひとりが抜けようとしたことをわびた。そしてかれのせつなる願いとして、午後二時五分過ぎまでは、ぜったいに博士邸に、はいらないことにしてくれといった。検事はおどろいて、その理由の説明を蜂矢にもとめた。
「なにも聞かないで、二時五分まで待ってください。なんにもなかったら、そのときはぼくはあなたがたにあやまってわけを話します」
検事は、蜂矢を笑おうとしたが、思いとどまった。そして部下たちとともに、博士邸の門から三十メートルほど手前の空地《あきち》にはいって、休憩をとった。
おそるべき事件が、午後二時を数秒まわったときに発生した。
それは第二の爆発事件だった。天地のくずれるばかりの音がして、博士邸からはものすごい火柱が立った。もし一行が、博士に約束したとおり、その時刻、博士の研究室にはいっていたとしたら、どうであろう。長戸検事以下の警官たちも蜂矢十六も、一瞬にして貴重な生命をうばい去られたことだろう。
いったい何故《なにゆえ》に第二の爆発が起こったのであろうか。それは前回のものよりもはるかに強烈なるものであって、博士邸をまったく粉砕《ふんさい》してしまったのを
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