てふとん[#「ふとん」に傍点]のすそに眠ってしまったところを、川内警部がぎゅうと踏みつけたので、Qはおどろいて目をさまし、とびあがった。そのときかみそりのように鋭いQが、警部の左の足首にさわったので、さっと斬ってしまったのだ。
 Qはいよいよおどろき、戸口から廊下へとび出し、もとの研究室へひきかえした。そのとき田口警官が、廊下をこっちへやってくるのとすれちがった。すれちがうとたんに、Qは田口の右ほおにさわって斬ってしまった。
 そこでQはますますあわて、その建物から外へとびだした。そうして人に拾われるようなことになったのだ。
 と、博士は見ていたように、話をしたのである。
 その話の間に、約束の時間は過ぎてしまった。だが博士は、それに気がつかないのか、しゃべりつづけた。興奮の色さえ見せて、かたりつづけたのであった。


   大団円


「おどろきました、感じいりました」
 と、長戸検事は厳粛《げんしゅく》な顔になっていった。
「あなたはどうしてそこまで、おわかりになったのでしょう。Qをお作りになったのは、あなたであるにしても、Qの行動をそこまでくわしく知る方法とか器械があるのでしょう
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