いられないのです。わたしを待っている重大な問題がたくさんある――いや、これはすべてわたしの研究に関する問題のことであって、しゃば[#「しゃば」に傍点]くさい刑事のことじゃありませんよ。だから、わたしとしては、きみの申し入れをおことわりするのが、あたりまえだ。だが、せっかく来たことでもあるし、わたしもたいへんやっかい[#「やっかい」に傍点]にしていた金属Qが、あのとおり完全に分解して、生命を失ったことゆえ、みじかい時間ならばきみの申し入れをきいてあげてもよい。できるだけかんたんに、ききたいことをのべたまえ。われわれの会話は、十五分間をこえないのを条件とする」
博士は、いやに恩にきせて、長戸検事の申し入れをきいてやるといった。
「では、さっそくお願いしましょう。議事堂の塔の上から落ちて、からだがバラバラになったマネキン人形がありましたが、あれにも怪金属Qがついていたのでしょうか」
「わかりきった話です。Qがあのマネキン人形を動かしたんでなければ、マネキン人形があんなにたくみに動くことはない」
「すると、文福茶釜《ぶんぶくちゃがま》となって踊ってみせたのも、やっぱりQのなせるわざですか」
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